ラオスの旧正月「ピーマイラーオ」:水かけ祭りで迎える新たな年と、ロックダウン下の静かな祈り
こんにちは、現在はビーチサッカー選手🏝️⚽️であり、元JICA海外協力隊のMAHOです!
今回は、ラオスの旧正月と言われる「ピーマイラーオ」(ປີໃໝ່ລາວ)について、たっぷりとご紹介したいと思います。ピーマイラーオでは、水かけ祭りがあり、タイのソンクラーンやミャンマーのティンジャンなど、東南アジアの国々で祝われる旧正月にあたるお祭りで、水を使った盛大なお祝いが特徴です。今回は、その魅力的なお祭りの様子から、少し特別な年となった2020年と2021年のロックダウン下のピーマイラーオの人々の様子について紹介します。
ピーマイラーオとは?その意味と時期
ピーマイラーオは、ラオス語で「新しい年」を意味し、仏教暦に基づく新年のお祝いです。通常、毎年4月13日から15日頃の3日間にわたって行われます。この時期は、ラオスで最も暑い時期にあたり、人々は水をかけ合うことで暑さをしのぎ、身を清め、新しい年の幸運を祈ります。
ピーマイラーオは単なるお祭り騒ぎではなく、ラオスの人々にとって非常に重要な文化的、宗教的な意味合いを持っています。家族や親戚が集まり、寺院へのお参りや伝統的な儀式を通して、絆を深め、祖先を敬い、新たな年の平和と繁栄を祈願する大切な期間なのです。
ピーマイラーオの賑やかな3日間
ピーマイラーオの期間中は、ラオス全土が活気に満ち溢れます。それぞれの日に異なる意味合いを持つ儀式や習慣があり、その全てが新年の始まりを祝う喜びに満ちています。
1日目:「サンカーンルアン」(ສັງຂານລ່ວງ)
「過ぎ去った年」を意味するこの日は、大晦日にあたります。人々は家や寺院を清掃し、仏像を丁寧に洗い、新しい衣装やお供え物を準備します。家族が集まり、特別な料理を囲んで新年を迎える準備をする、静かで落ち着いた雰囲気の日です。夕方には、寺院でロウソクを灯したり、お経を唱えたりする儀式が行われ、過ぎ去る年への感謝と新しい年への祈りが捧げられます。
2日目:「サンカーンナー」(ສັງຂານນອນ)
「年の瀬」を意味するこの日は、新旧の年が交わる特別な日とされています。この日は、良いことも悪いことも起こらないとされる、いわば「空白の日」のような意味合いを持ちます。そのため、特に決まった儀式や活動は少なく、人々は休息したり、翌日の盛大な水かけ祭りに備えたりします。しかし、地域によっては、この日に静かに瞑想したり、徳を積むための行いをしたりする人もいます。
3日目:「サンカーンマイ」(ສັງຂານໃໝ່)
いよいよ「新しい年」を迎えるこの日が、ピーマイラーオのハイライトです!朝早くから人々は寺院へ行き、タンブン(功徳を積む行為)としてお供え物をしたり、托鉢の僧侶に食べ物を施したりします。そして、いよいよ始まるのが、ピーマイラーオの代名詞とも言える「水かけ祭り」です。
街中には水鉄砲やバケツを持った人々があふれ、老若男女問わず、通りすがりの人々に水をかけ合います。外国人観光客も例外ではなく、誰であってもずぶ濡れになります!この水は、単に暑さをしのぐだけでなく、穢れを洗い流し、新しい年の幸運をもたらすと信じられています。中には、香りの良い水やハーブの入った水を使う人もおり、その香りがお祝いの雰囲気をさらに盛り上げます。
水かけ祭りとともに、街の至る所で音楽が流れ、若い年代に人気の曲が爆音で流れていたり、伝統舞踊が披露され、人々は歌い、踊り、共に新年を祝います。特に観光客が多く訪れるルアンパバーンなどでは、盛大なパレードが行われ、美しい民族衣装をまとった人々や、花で飾られた山車などが街を練り歩きます。また、ピーマイラーオの期間中は、ミス・ピーマイラーオを選ぶコンテストも開催され、その美しさを競い合う様子は、お祭りに華やかさを添えます。
さらに、ピーマイラーオの期間中には、家族や親戚が集まって食事をしたり、年長者に敬意を表して手を洗い清めたりする伝統的な習慣も大切にされています。家々では、幸運を招くと言われる黄色い花で飾り付けが行われ、お供え物として果物やお菓子などが用意されます。
2020年と2021年のロックダウン下のピーマイラーオ
しかし、世界中を襲った新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ラオスのピーマイラーオにも大きな影響を与えました。2020年と2021年は、感染拡大を防ぐために、ラオス国内でも厳しいロックダウン措置が取られました。
2020年のピーマイラーオ:突然の静寂
2020年のピーマイラーオは、まさに突然の静寂に包まれました。例年であれば、街中が水しぶきと人々の歓声で溢れかえるはずの時期に、外出制限や集会の禁止措置が取られたため、水かけ祭りは中止となり、多くの人々が自宅で過ごすことを余儀なくされました。
家族や親戚が集まることも難しくなり、寺院への参拝も制限されるなど、ピーマイラーオの伝統的な過ごし方は大きく変わりました。人々は、オンラインで家族や友人と連絡を取り合ったり、自宅で静かに祈りを捧げたりするなど、これまでとは異なる方法で新年を祝いました。
賑やかなお祭りの様子を知る人々にとっては、静まり返った街の様子は寂しく感じられたことでしょう。しかし、このような状況下でも、ラオスの人々は伝統を重んじる心を失わず、それぞれの方法で新年を迎えようとしていました。
私は日本で待機中でありましたが、ラオスの友人のfacebookで、現地の静まり返った様子の写真を見て、
「ラオス人、やっぱりやる時はやるな〜」
と感心していました。ラオス人あるあるの「火事場の馬鹿力」というものです!
2021年のピーマイラーオ:新しい生活様式の中で
2021年のピーマイラーオも、ロックダウン措置が取られ、大規模な集会や水かけ祭りは引き続き制限されました。しかし、前年の経験を踏まえ、人々は新しい生活様式の中で、できる範囲でピーマイラーオを祝おうと工夫していました。
例えば、家族単位で集まって食事をしたり、近所の親しい人たちと少人数でささやかなお祝いをしたりする様子が見られました。オンラインでの交流もさらに活発になり、遠隔地に住む家族や友人とビデオ通話で新年の挨拶を交わすなど、デジタルツールを活用したお祝いの形が広がりました。
寺院では、感染対策を徹底した上で、人数制限を設けながら参拝を受け入れる動きもありました。人々は、静かに手を合わせ、家族の健康や一刻も早いパンデミックの終息を祈りました。
ロックダウン下のピーマイラーオは、例年の賑やかさとはかけ離れたものでしたが、その中でもラオスの人々は、伝統文化を大切にする心、家族やコミュニティーとの絆を繋ぐことの大切さ、そして困難な状況でも希望を失わない強さを改めて示したと言えるでしょう。
ピーマイラーオ体験記
「必ず濡れます!」
間違いなく、誰でも一度は水をかけられるでしょう。濡れたくなければ、一歩も家から出ないことをお勧めします!それくらい、誰でも水をかけ合います!
小さい子供も水鉄砲を持って、容赦無く水をかけてきます。それがラオスです!笑
走っている車の荷台に人が乗っていて、バケツの水をバシャーとかける人もいました。なんでもありで、やりたい放題でした!笑
もし水かけ祭りを体験したい場合は、スマホの防水ケース、防水バックは必要です。参戦したければ、ゴーグル、水鉄砲をご用意ください。その時期が近づくと、至る所で売り出されています!
ただ、JICA関係者の中には、一度体験して、その後はこのピーマイラーオの時期は他の国に逃げるように海外旅行をしていたと聞きました。笑
私が活動していた学校では、ピーマイラーオ1日目に、子供達が学校で水かけ祭りを行っていました。みんな、制服ではなく、濡れても良い服で学校にやってきて、手には水鉄砲がありました!
児童も先生もびしょ濡れでしたが、とても微笑ましい時間でした。
その他学校近くの村役場でのパーティーに参加したり、教育スポーツ局のパーティーに参加し、一通りピーマイラーオを体験できました。
ラオス人はお酒が大好きで、ラオスにはビアラオ(Bealao)というビールがありますが、それをガブガブと飲み続けていました。日本のビールより、苦くなく、飲みやすいビールです。日本でもネットで購入することができますので、ぜひお試しください!🍺
また、ベビーパウダーを顔につけたり、かけ合う習慣があり、みんなパウダーで顔が白くなっています。私は断りました!笑
パーティーは爆音で、毎回ビールやパウダーを断るのが大変ではありましたが、何よりも心に残るのは、ラオスの人々の温かい笑顔と、お祭りを楽しむ純粋な気持ちでしょう。知らない人であっても、言葉はそれほど通じなくても、水をかけ合うというシンプルな行為を通して、心が通じ合い、今となっては忘れられない思い出となっています。
まとめ:ピーマイラーオはラオスの一つの思い出
ピーマイラーオは、単なる賑やかなお祭りではなく、ラオスの人々の信仰心、家族やコミュニティーを大切にする心、そして新しい年への希望が凝縮された、非常に特別な時間です。ロックダウンという困難な状況下でも、その精神はしっかりと受け継がれ、形を変えながらも祝われてきました。
もし皆さんもラオスを訪れる機会があれば、ぜひ一度はピーマイラーオの時期を選んで、この素晴らしい文化に触れてみてください。きっと!絶対に!忘れられない思い出となるはずです!笑
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
MAHO

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